シーズン最後の梨「王秋」ってどんな品種？

8月から始まった梨の収穫シーズンですが、11月にはついに終わりを迎えます。そこで、今回はシーズンの最後を締めくくる梨「王秋」がいったいどんな梨なのか紹介していきます。

王秋の収穫時期

王秋は、通常10月下旬〜11月中旬に収穫されます。梨は枝の先端から熟していくため、なるべく枝の先から、そしてなるべく太った実から選んで収穫していきます。

王秋も同様に、枝の先から表面の皮が色づいて（王秋の場合、茶色っぽくなったものから）、ずっしり重くなったものから選んで、なるべく王秋の区画全体をまんべんなく収穫していきます。

その日出荷できるコンテナ数は限られているので、全体が大きく育っていると、「一回の収穫で一本あたりどれくらい収穫していくか」それを調整するのが梨農家の腕の見せ所です。

こうさてん十でも、全ての木からバランスよく、一番美味しい瞬間の実を逃さず収穫していくことを心がけています。

王秋の特徴

味と食感

王秋はよく「バランスの良い梨」と表現されます。
ちゃんと甘いのですが、新甘泉ほど甘くはなく、二十世梨のようにみずみずしいのに、やわらかめの食感をしています。
新甘泉や二十世紀梨はしっかり特徴があるので、その分好みが分かれますが、王秋はバランスが良いのでどんな人にも美味しく食べてもらいやすい品種です。
また、上述のように柔らかめの梨であるため、子どもや年配の方でも食べやすいです。

余談ですが、知り合いが間違って王秋を床に落としてしまったそうで、その時落下の衝撃でぶちまけられた梨汁の多さにびっくりしたそうです。

スーパー等で見かけることがあったら、ぜひ一度手にとってみてください。そのずしっとくる重みに、いかにみずみずしい梨か感じることができると思います。

見た目

一般的な丸い梨と比べて縦長な形状のため、よく「マンゴー」や「ラグビーボール」の様だと表現されます。
赤梨のため、新甘泉や幸水のように最初は黄色く色づきますが、収穫時期には秋らしく少し茶色味を帯びます。表面は少しざらざらしています。

日持ち

王秋最大の特徴は、その日持ちの長さです。収穫後から、常温では約1ヶ月、冷蔵では約3ヶ月も美味しい状態で食べることができます。専用の保冷技術を使えばさらに長く持つため、たまに春先でも店頭で見かけることがあります。

とはいえ、やはり旬のものは旬の時期に食べた方が美味しいので、収穫時期に合わせて購入されるのがおすすめです。

寒い地域にお住まいの方なら、冷蔵庫に入れなくても、暖房がないスペース（いつも10度以下になるような場所）での保管でも十分持ちますよ。

大きさ

愛宕ほどではありませんが、他の品種と比べてかなり大玉です。大人が片手で持つと手に余るくらいの大きさのものが多いです。今年こうさてん十で採れた王秋は、１玉平均が530gでした。梨の平均的な重さが350~400gと言われているので、100g以上オーバーしています。

収穫時、縦長なので、大きくてもコンテナにどんどん詰めれてしまうのですが、他の梨と同様に詰めてしまうと重すぎて筆者では持ち上げられなくなります。王秋の収穫は詰めすぎないのがコツです…。

王秋の名産地

王秋の主な生産地は鳥取県で、全体の37%が栽培されています。大玉かつ台風シーズンに収穫時期を迎える梨であるため、台風の被害を受けやすい地域にはあまり向かない品種のようです。

鳥取西部では、「大山さんのおかげ」という言葉が今でも根付いています。人々が定住し始めてからずっと、台風から暮らしを守ってくれた大山の麓で栽培するのは、とても理にかなっているのかもしれません。

参考：令和３年産特産果樹生産動態等調査

まとめ

今回は、旬を迎えた王秋の収穫時期や特徴、産地についてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか？少しでも気になっていただけた方は、ぜひ下記の王秋のページを覗いてみていただけると嬉しいです。王秋、美味しいですよ〜〜！